Karimoku Back Story

Back Story 1

アカマツ材の特性と
辛抱強く向き合い、
強く美しい家具へ。

資材部門

三輪 義保

「アカマツ」という使用したことのない木材と初めて向き合った、非常にチャレンジングなプロジェクトでした。家具の一般的な材料は広葉樹。スギやヒノキ、マツなどの針葉樹は広葉樹に比べて強度や表面硬度が低く、傷が付きやすい特性があります。今回、資材部門として苦労したのは、扱いづらい木材であることに加え、材料として提供いただいたアカマツ材の量が限られていたこと。良材を薄くひき割り、強度の高い芯材と組み合わせる「ひき板接着」の技術を駆使し、オーダーされた家具をすべて製造できるよう努めました。また、反りなどの変形やヤニといった針葉樹ならではの課題も多く、一つひとつを確実にクリアすることにも注力しました。
カリモクは、国産広葉樹の小径木を有効活用する「Karimoku New Standard」コレクション、針葉樹のヒノキを使用した「MAS」コレクション、日本各地の里山の木々を活かした家具づくりなど、森林保全や木の循環への貢献をめざした製品開発・環境活動に励んでいます。そうした経験や長年培った木材加工の技術を応用し、今回、アカマツ材も美しい家具に再生させることができたと感じています。

薄くひき割った材と芯材を組み合わせる「ひき板接着」。
「ひき板接着」する際には樹種に合わせてプレスの圧力を調整。
約3週間、アカマツ材を追い乾燥し、適切な水分量に調整。

Back Story 2

ものづくりの信念のもと、
“心地よさ”のため
妥協せず挑み続ける。

設計部門

太田 好史

ここで働く皆様の“心地よさ”をつくりたい。そう信念を燃やし、今回のプロジェクトに挑みました。構造、デザイン、強度、軽量化…すべてを加味して設計することに苦心しながらも、新しい時代を先取るワークプレイスを形にしようと妥協せず試行錯誤を重ねました。最も大変だったのが、プロダクションセンターのフレキシブルテーブルです。一枚板のように見せながら、多様なレイアウトに対応できる可変性も持たせなくてはいけません。また、木目の美しさが際立つシンプルなテーブルにするため、天板に埋め込み式のコンセントを設置しましたが、それも一筋縄ではいきませんでした。配線を隠してフラットに仕上げるには天板の厚みが40mm必要になり、その分、重量もアップ。最大で250kgを超える天板もあり、脚を金属にして独自のパーツもつくりました。こうしたチャレンジのすべてが皆様の笑顔につながると思うと、今後も挑戦し続けたいと決意を新たにしています。

ナラ材を使用したフレキシブルテーブルの天板は、表面がフラットになるよう加工した埋め込み式コンセントを設置。
応接室のミーティングテーブルの天板にもアカマツを使用。PC等を使用するためのコンセントも埋め込み式で、未使用時はカバーを装着することで見た目の美しさを保ちます。

Back Story 3

未知の木材だからこそ
丁寧に寄り添い、
よりよい解決策を見出す。

製造部門

澤 英和

今回、家具に使用できるアカマツ材の量が少なかったため、試験・検証を幾重にも積み重ねながら慎重に製造を進めました。アカマツ材という未知の素材での家具づくりは苦労続きでしたが、特に困ったことは「ヤニ対策」。塗装・乾燥を終え、ようやく部材が形になり組み付けようとすると、粘ついた手触りがするのです。見るとヤニがあふれてくる部分があり、そこを削って取り除き、何度も修正。それまでの工程でヤニ対策をしていたにもかかわらず、どんどん出てくる想定以上のヤニの量に驚きました。さらに、最終仕上げで「みずのわ」マークの焼き印を施す作業も、難易度の高いものでした。約300℃に熱した金属で焼き印を押すのですが、加熱された部分からまたヤニがじわりと発生。試行錯誤の末、きれいに焼き付けることができた瞬間は、今も鮮明に思い起こせます。これからも木の気持ちに寄り添い、先人から受け継ぐ技を磨きながら、新しい家具づくりに挑みたいと思います。

美しく焼き付けられた「みずのわ」のマーク。
プロダクションセンターのベンチの試作品。
天板表面を平滑にするために木目に沿って調整作業を行う。

Back Story 4

木と生きるカリモクの技を、
皆様の笑顔のために
役立てていきたい。

営業部門

藤本 勇司

「水と生きる」というサントリー様の言葉や環境活動に共感したことが、今回のプロジェクトへの参加を希望したきっかけです。木とともに歩む私たちカリモクなら、サントリー様、竹中工務店様が思い描くワークプレイスを形にできると信じ、提案時から徹底的に具体化したプランをお伝えしました。営業担当として心がけたのは、製造面での実現可能な範囲でいかにご要望に応えるか、最善策を探ること。アカマツ材というかなり難しい木材を使うことも大変でしたが、仕様変更や細かなご要望も数多くあり、製造現場との調整、度重なる提案にも全力を注ぎました。キッチンカウンターの配管や電気関係との調整、大きなフレキシブルテーブルの設計・製造、大雨の中の搬入作業など、振り返ると難題の連続でした。それでも完成後、「アカマツの家具がすごくいい!」「さすがカリモクさん」と喜んでいただけたことが、何よりの幸せ。皆様の笑顔を見ることができ、心から嬉しく思っています。

側面のアカマツ材が目を引くキッチンカウンター。
カリモクの技術力が結集したフレキシブルテーブル。

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