ザ・ファーストが生み出す優しい空間が、
赤ちゃんとご家族の居場所となる。

「安全」と「安心」を兼ね備えた椅子で、
NICUにプライベート空間をつくりたい。

カンガルーケアとは何でしょうか?
齋藤医師 カンガルーケアとは、赤ちゃんとお母さん・お父さんの肌と肌を合わせて抱っこするケアのことです。赤ちゃんのバイタルサイン、心拍や呼吸、体温が安定して、睡眠のリズムが整うなどの効果が期待されています。お母さん・お父さんにとっても、赤ちゃんのぬくもりや息遣いを感じて「親になった」という実感がわきます。海外が発祥ですが、日本でもカンガルーケアを取り入れた治療や看護・保育が全国的に進められています。
カンガルーケアも想定した椅子選びでは、
どのようなポイントを大切にしましたか?
齋藤医師 カンガルーケアに限らず、ご家族と赤ちゃんがゆったり過ごせる時間をご提供できるように、医療スタッフと事務スタッフが話し合いを重ねながら椅子を探しました。集中治療を頑張っている小さな赤ちゃんを抱っこするための椅子ですから、外せないポイントがいくつかありました。長時間でも疲れない座り心地のよさ、包み込まれるような安定感やプライベート感、赤ちゃんを抱いていると両手は使えないので自分の体重でシームレスにリクライニングすること……。
豊島医師 当初、着目したのが航空機の椅子でした。機内での「安全」と「安心」を兼ね備え、パブリック空間とプライベート空間も上手に仕切っていますからね。それと同じ発想を使って、従来のNICUとは違う新たな空間づくりにアプローチしました。とはいえ、私たちは素人ですから、航空機を専門とされている空間デザイナーの方や、ハンドベル・ケアの工藤さんなどプロの方々に相談しました。

カンガルーケアにも使える椅子を探し、
たどりついたのがカリモクの「ザ・ファースト」。

ザ・ファーストに決めた経緯を教えてください。
工藤さん 医療機器や福祉用具などを取り扱う者として、企画営業課や新生児科のみなさんからのご要望をお聞きし、さまざまな椅子をご提案しました。当時、カリモクさんがリクライニングチェアーに力を入れていること、特に操作不要の新しいタイプである「ザ・ファースト」に注目していましたから、早々にカリモクさんにもお声がけしました。
加藤 ご要望を伺ってすぐ、ザ・ファーストが最適だと確信しました。これまでに弊社では、ザ・ファーストを医療機関に納入した実績もあります。がん治療では点滴用の椅子としてお使いいただき、痛みやつらさを少しでも緩和する役割を担っています。医療やケアの現場において、究極のくつろぎを追求したザ・ファーストが力を発揮できると感じ、カンガルーケアを視野に入れたご使用にも応えられるのではと考えました。
菊池さん 約1年かけてあちこちのモデルルームに行き、さまざまなメーカーの椅子を比較検討していました。ですが、医療機器がいくつも配置されているNICUに、実際に置いてみるとどうなのだろうというのが見えづらかったために、病棟のスタッフも選びかねていました。そんな中、現物を当センターに持ち込んでほしいという要望に柔軟に応えてくださったのが、工藤さんと加藤さん。ザ・ファーストをNICUに試し置きすることがかなって、本当に助かりました。ちょうどいいサイズ感を確認できたし、多くのスタッフにも座り心地や機能性を確かめてもらえて、ザ・ファーストの導入を決定しました。

すべては、赤ちゃんとご家族のために。
解決策をともに考え、信頼を結ぶカリモク品質。

NICUのベッドサイドにザ・ファーストを導入する上で
大変だったことはありますか?
齋藤医師 張地の選定が大変でした。感染防止の消毒処理を座るごとに行う必要がありますから、本革では傷んでしまい長く使えません。
工藤さん 加藤さんがさまざまな合成皮革をお持ちくださり、実際に使っている消毒液の成分でどれぐらい変色・劣化してしまうのか、きめ細かく調査・検討してくださいました。
加藤 ザ・ファーストの形状に合わせて張れる柔らかさがあり、かつ、感染防止の消毒液に対して耐久性の高い合成皮革ご提案するために、張地のメーカーさんに何度も確認し、さまざまな検査をクリアした素材を徹底的に検証。センターのみなさんや工藤さんにも品質や質感を確かめていただき、ご納得いただける椅子を完成させることができました。私もとても嬉しく感じています。
齋藤医師 製品として長く保証できるものを妥協せずご提案くださり、カリモクさんのプロ意識の高さに感動しました。NICU仕様のザ・ファーストが搬入されたときはとっても感激でしたよ。

ここから、新しいNICUのあり方を広げて
新生児医療の未来へ一歩を踏み出す。

実際に、ザ・ファーストの使い心地はいかがでしょうか?
清野さん く抱っこしていても疲れにくくて、ご家族も穏やかな気持ちで赤ちゃんと向き合えているなと感じます。私も夜勤のときなど、この椅子に座って赤ちゃんをケアしています。2019年9月に開催されたNICUリニューアルイベントでは、NICU卒業のお子さんやご家族、200人近くが集まってくださいました。そのとき、ザ・ファーストに座っていただいたのですが、みなさん絶賛でした。何人かのお母さんは「以前の椅子や折り畳み式リクライニングシートでの抱っこは、実はつらかったんです。骨盤がぐらついている産後でしたから。この椅子なら安定感があっていい!」とおっしゃっていましたね。そうしたつらさを今後は緩和できると感じ、時間をかけて椅子を選んだかいがあったなと思いました。
布施さん 神奈川県内の基幹病院、10数施設から看護師・助産師の方々が見学に来たときも、座り心地のよさに感動していました。「赤ちゃんとお母さん・お父さんが長い時間一緒にいられる空間をつくることは、これからのNICUにとって大事なことですね」という言葉もお寄せくださいました。
最後に、今後の目標を教えてください。
豊島医師 今回のリニューアルプロジェクトには、NICUを卒業したお子さんのご家族をはじめ多くの方々が寄付をしてくださり、新たなNICUが形になったと感謝の気持ちでいっぱいです。私たちセンターのスタッフだけでなく、工藤さん、加藤さんなど協力会社の方々、かつてこのNICUで過ごしたご家族、さまざまな人の思いがひとつになって、これから生まれてくる赤ちゃんやご家族の笑顔につながっていくのだと感じています。だからこそ、よりよいNICUのあり方を今後も考え続けて、安全安心の医療に全力を注ぎたい。
齋藤医師 この新しいNICUから、新しい新生児医療、病気や障がいとともに生きる赤ちゃんやご家族へのよりよいサポートの形を、日本に広げていくことができたらと考えています。めざしているのは、未来に生きる子どもたちの人生をより豊かにすること。集中治療が必要な子、早く生まれた子は、健常児といわれる子とは違った悩みがあるかもしれません。それでも、ご家族がたくさん抱っこして、その子のことをよく理解して、一緒に人生を歩む自信をつけていく。そのスタート地点にNICUがなれるように努めます。そして、すべての子どもたちのその子らしい人生、そのご家族らしい日々を応援し続けたいと思っています。

mum's voice

親子でリラックスして、心地よく眠る。
そんな幸せなひとときを
この椅子がかなえてくれます。

NICUで毎日、頑張っている次女。人工的に呼吸を管理してもらう必要があるため、常に医療機器をつけています。そんなわが子を抱っこするとき、この椅子にいつも座っています。安定感があるところが一番のお気に入り。手で操作することなく、自分の体重でちょうどいい角度にリクライニングできて助かります。体に負担がかかりにくく、長時間抱っこしても疲れません。
私がリラックスすると次女も落ち着くみたいで、しばらく抱っこしていると気持ちよさそうに眠ってしまいます。かわいい寝顔を見ていると、つられて私もスヤスヤ。パパも、この椅子で次女を抱っこすると寝てしまっています。親子ふたりでお昼寝しているところを、NICUの先生方や看護師さんに何度も目撃されています。5歳になる長女にも、この椅子なら安定しているから抱っこさせることができます。かわいい妹にふれて、お姉ちゃんとしてしっかりしてきたかな。
何気ない時間かもしれないけれど、家族みんなで一緒に過ごせることは、とっても貴重で幸せなひとときです。こども医療センターのみなさん、この素敵なNICUをつくってくださったみなさんに、心から感謝しています。

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